「邪魔だぁぁっ!!」
「このぐらいでっ!!」
「蜂の巣になりなさいっ!」
三人で寄ってくる亡者をとにかく蹴散らせ、私達は校舎へと向かった。
「遠野君っ! 見えましたっ、校舎ですっ!」
「はいっ、見えてきましたっ!」
とりあえず校舎は見えてきたが、その前には大量に亡者が蠢いていた。
「全くっ! この地は浅神が処刑場にでも使ってたんですかねっ!!」
「先輩、それは有りえるかも。魔を捕らえて殺してた場所に、この校舎を建てたのかも。」
「…なるほど、それでその魔の呪が想念となってこの惨状になっていると。」
「うん、複数の魔の想念が集まったものだから一つの目的ではなくて、複数目的があるんじゃないかな。
退魔の一族を根絶やし、とか。単純に世の中を征服とかね。」
「それはありえますねっ! それではとりあえず目の前のものをなんとかしましょう姉さんっ!!」
「秋葉さんっ! 私がセブンで突っ込みますから、檻髪で横からの亡者をお願いしますっ!
遠野君は私の後ろに控えて、なにかあったら飛び出してくださいっ!」
「わかりましたっ!」
「協力させて頂きますわっ!」
私と秋葉は指示通りシエル先輩の後ろに並び走る。
「ではいきますよっ! セブンッ!」
「りょ〜かいしましたマスター!」
するとカソックからななこちゃんが出てきて、第七聖典へと変化し、先輩の手の中へと入る。
「気が散るから喋らないでっ! コード!」
「りょ〜かいですっ! 標準バッチリですマスター!」
「だから喋るなとっ!!」
先輩は怒声を上げながらななこちゃんを腰の位置で構え、スピードを徐々に上げて突進の準備をする。
「いきますよっ! スクエアッ!!!」
「発射しま〜す!!」
途端、ガシュゥゥッ、という音と火薬の臭いと共に第七聖典の釘が発射された。
発射された釘と共に、亡者達は吹っ飛んでいく。
「…相変わらずすごい威力だな。」
「えへへ〜、マスター、志貴さんに誉められましたよ〜。」
「うるさいっ! 黙ってなさいセブンッ! 二発目発射!」
「うわわっ、いきなりですか〜!」
また轟音と共に釘が発射され、亡者達は吹っ飛んだ。
「それでは遠野君、校舎の壁を殺しちゃってくださいっ!」
「秋葉、サポート頼む。」
「任せてくださいっ!」
そのままの陣形で校舎の裏側まで走り、一旦シエル先輩の前に出て校舎の壁を殺す。
その間に襲ってきた亡者は先輩と秋葉が対応してくれた。
――――――ガコンッ
校舎の壁の一部を切り取ってそのまま蹴り押して、私達は校舎の中へと侵入した。
校舎の中は外とは違ってただ静かで、逆に不気味だった。
「遠野君っ! 私達はここを確保しますから、貴女は二人と想念を探してくださいっ!」
「姉さん、そういう訳ですからまた後ほどお会いしましょうっ!」
二人はこちらへ目を向けず、私が開けた穴から校舎へ入ってこようとする亡者を蹴散らしていた。
「あぁっ! 二人とも頑張ってくれよっ!」
「貴女が一番大変なんですよっ!!」
「う…、が、頑張ります。」
シエル先輩のキツイ突っ込みを受けながら、私は廊下を駆け出した。
「…やけに、静かだな。」
私は廊下を歩いていた。
ただ静かな廊下に響いていたのは、私の歩く足音だけだった。
―――――――ピチャッ
丁度自分達の教室に差し掛かった所、なにかの音が聞こえた。
恐らくなにかいると思い、私は教室の中に足を踏み入れた。
「――――――ひ、すい…。」
教室の椅子には、翡翠が座っていた。
そして、翡翠の前には複数の生徒が座り込んでいる。
――――――――ピチャ、ピチャ
いや、違った。
複数の生徒は、椅子に座り込んで翡翠の秘部から出る蜜を舐め取っていた。
翡翠はパンティだけを脱がされた状態で、虚ろな目をしている。
「……………くっ!」
私は魔眼を使い、その生徒達を見る。
生徒達はちゃんと生きているようだが、背中になにか靄のようなものがかかっていた。
「…これが、想念か…?」
その靄にはきちんと点があった。
恐らくこの靄が想念の一部なんだろう。
すると、生徒達は私に気付いたのか、こちらに振り返りいきなり飛び掛ってきた。
「なっ! …マジかよっ!」
その生徒達の動きは、死者のようにリミッターが外れたような素早い動きだった。
だが、彼女達は生きているので体の点を突く訳にはいかない。
「…全く、厄介だなオイッ!」
私は彼女達の肩越しに、背中にかかる靄の点を突く。
すると彼女達は崩れ落ち、眠りについたようだ。
「…これで、大丈夫かな。」
彼女達の無事を確認し、翡翠の前へと移動する。
「…翡翠、翡翠っ! 大丈夫かい?」
私は翡翠の肩を揺らし、目を覚まさせた。
「…あ、し、き、さま…。」
「あぁ…、おはよう翡翠。」
「あ、はい。おはようございます。」
「うん、大丈夫そうだね。立てるかい?」
「はい、大丈夫です。」
翡翠はそのままスクッ、と立ち上がった。
「そうか、それじゃぁいこう。」
「はい、姉さんは恐らく体育館かと思われます。」
「そうか、わかった。」
「はい…。」
私は翡翠を後ろに連れて、廊下に出ようとした。
――――――タンッ
翡翠が後ろから私に襲い掛かってきた瞬間、翡翠の後ろへ宙返りに跳びながら背中にかかっていた靄の点を突いた。
瞬間、翡翠が糸が切れたように崩れ落ちそうになるのを支える。
「全く、厄介なやつだな想念ってのも…。」
私は翡翠を抱きかかえたまま廊下を歩き、一度先輩たちが確保しているであろう入口へと向かった。