私は今の状況を打開する策を思い出し、それを実行するべくみんなに相談した。

「ちょっと、弓塚。お前固有結界使えるよな?」
「えっ? うん、一応使えるよ。アルクェイドさんの影響があるから、前よりも強くなったけど。」
「そうか、そりゃいい。」
私は弓塚と話をしながら更に襲い掛かってくる亡者を蹴散らす。
だが、亡者はただバラバラにするだけでは何度でも復活してくるようだ。
私はそれでも亡者を蹴散らしながら、みんなに協力を仰いだ。

「みんな、ちょっとの間亡者を任せた。」
「えっ!! ちょっと遠野君っ! なにか策でもあるんですか?」
「えぇ、ここらへんの地球の『点』を探します。」
「…ですが、それだけではただこの地が死ぬだけで…。」
「はい、判ってます。ですから、その上で弓塚に固有結界を張ってもらうんです。」
「…なるほど、そうすればこの地の死者は動かなくなってくれますね。」
「そういう事です。ですからちょっとの間、サポートお願いします。」
「わかりました、でも急いでくださいね!!」
「判ってます。」
そう言うと、私は木の上に飛び乗り、魔眼を発動させる。



地面の点を探す為、とにかく凝視する。
頭の奥が少し痛むが、気にせず点を探す。
すると、一箇所大きな点が見えた。

「…っ!! そこかぁっ!!」
私は木から一気に飛び降りて、地面の点を突いた。






――――――――ガクンッ






一瞬、この場を取り囲んでいる空気が大きく揺れ、地面が揺れたのを感じた。

「弓塚っ! 今だっ。アルクェイドも空想具現化でサポートしてくれっ!!」
「おっけーっ! やるよさっちんっ!!」
「はいっ! えぇ〜いっ! 枯渇庭園っ!!」
「これで終わりよっ! Gnaden Sturz!」
二人が大きく手を振り上げる。

瞬間、周りの亡者達がアルクェイドの風に吹き飛ばされ、周りの木々は枯れ、それと同時に亡者達も朽ち果てていった。

「ふぅ、これでとりあえず大丈夫かな?」
私は一応の安堵の溜息をついた。

「志貴ちゃん、とりあえず頭いいね〜。」
弓塚が誉めてるのかわからない言い方をして私に近づいてきた。




「あ、弓塚。結界の範囲ってどんぐらい?」
「う〜ん、多分今は夜だし、寮ぐらいまでは範囲内じゃないかな?
結構力強すぎて自分じゃ制御できなかったから。でも寮が朽ち果ててるって事はないから安心していいよ。」
「あぁ、まぁ分かった。」
一応の安心が得られたので、気持ちに余裕が出てきた。

「姉さん、体のほうは大丈夫ですか?」
秋葉が心配そうな顔をして私を見ていた。

「あぁ、心配かけて悪かったな、秋葉。それで、琥珀さんと翡翠なんだが…。」
「はい…、実は姉さんが刺されたという報告が入りまして、その、取り乱してしまって…。
私がつい教室を飛び出してしまって、それで廊下で姉さんと瀬尾、先輩方と合流したんですが、着いて来ていると思った琥珀が後ろにいなくて…。
それで姉さんをこちらに運んだ後は、私に出来る事などありませんでしたから、琥珀と翡翠を探したんですが…。」
話しをしている内、秋葉の言葉が段々と弱くなっていく。

「本当に申し訳ありません、姉さん…。」
「いや、気にするな。二人は大丈夫だから。だが、これで向こうの狙いがやっと分かったな。」
私はそう言うと、シエル先輩と顔を見合わせた。





「ですよね? シエル先輩。」
「はい、そうですね。恐らく向こうの今の目的は今以上の自身の力の強化。
その後になにをしたいのかは分かりませんが、恐らく強化の為に感応者であるお二人を攫ったんでしょう。」
「やっぱり、先輩でもその後の目的はわかんないですか?」
「えぇ…、なぜ、この学院にいるのかは今の所全然分かっていません。
そして、自身の強化をした後、なにをするのかも分かっていません。」
「…だとしたら、早く助けたほうがいいな…。」
私はそう呟いて、七夜を握り締める。

「…弓塚、お前はここに残っててくれ。アルクェイドもだ。結界を維持して貰わないと困るからな。」
「うん…、頑張ってね、志貴ちゃん。」
「志貴、ちゃんと殺してこないと怒るからね。」
二人は私に笑顔で返事をする。私もその返事を笑顔で受け止めた。

「…あぁ、秋葉、お前はどうする?」
私は先ほどから俯いている秋葉に向かって聞いた。
初めはただ俯いているだけだったが、意を決したように顔を上げ、凛としか顔で答えた。

「…私もいきます。翡翠と琥珀は私達の家族ですから。私達が迎えにいってあげませんとね。」
「あぁ、そうだな。それじゃぁシエル先輩も、一緒にお願いします。」
「はい、もちろんです。秋葉さんのサポートは任せてください。」
「それと、レンはここで弓塚とアルクェイドのサポートをしてくれ。
今二人は結構結界を張ったままで大変だから、魔術でサポートしてあげてくれよな。」
「・・・・・・・(コクコク)」
レン(人)の返事を聞いて、私はレンの頭を優しく撫でてから、学院の方向へ向き直った。






「秋葉…、蒼香ちゃんや羽居ちゃんはどうしてる?」
「恐らく、部屋で寝ているかと思われます。」
「そうか…、一応、別れの挨拶はしておいたか?」
「…そんなもの必要ありません。私は死ぬ為にここに来た訳ではありませんから。」
「…そうだな。シエル先輩もいい?」
「えぇ、遠野君と一蓮托生ですからっ。」
「ははは…、分かりました。それじゃぁ最後までついて来て下さいね。」
「はい、分かってます。」
「一緒に帰ってくるんですからね、姉さん。」
「うん…、それじゃぁいくか。」
私は一旦弓塚達に向き直り、とりあえずの別れを言う。






「アルクェイド、俺達が帰ってくるまで踏ん張ってくれよな。」
「まかせとて、私がこんな想念に殺される訳ないんだから。」
「弓塚、お前も頑張ってくれよな。お前の結界が命綱なんだから。」
「う…、うんっ。判ってる。でも、大変だから、なるべく、早く帰ってきてね…。」
「あぁ、わかってる。」
「シエルッ! ちゃんと志貴のサポートするんだぞっ!」
「貴女に言われなくても…。」

アルクェイドと弓塚は笑顔で、でも少し泣きそうな顔で私達を見送った。