「うーん、やっぱりお茶が旨い。」 「志貴ちゃん、やっぱりオヤジくさいよね。」 コンビにのベンチでお茶を飲んでいると、弓塚にそんな事を言われた。 エトに跨りコンビニまで辿り着き、今は二人でまったりしている。 私は緑茶、弓塚はトマトジュースだ。 やっぱり吸血衝動の名残なのか、赤い飲み物を好んで飲むようだ。 「あ、志貴ちゃん、アレってレンちゃんじゃない?」 「ん? あ、本当だ。おーい、レンー!!」 コンビニの前をテクテク歩いていた少女に呼びかけると、 私達に気付いた少女はこっちに向かって駆けてきた。 「やぁレン。どこいってたんだ? 今日は。」 「レンちゃんこんにちは〜。」 「・・・・・・(コクコク)」 レンは弓塚に挨拶をすると、私の膝の上に座った。 「レン、お茶飲むか? 」 そういってペットボトルを差し出すと、レンは一口お茶を飲む。 「それで、どこにいってたの〜? レンちゃん。」 「・・・・・」 レンはどこにいっていたのかをテレパシーで私に伝えてきた。 「…ふぅん、そっか。屋敷の様子を見にいってたのか。」 「あぁ、なるほど〜。今屋敷って誰かいるの? 」 「・・・・・・・」 「へぇ、知らない女の人が5人いたんだ。きっと斗波さんがよこしてくれた使用人さんだろうな。」 「斗波さん? 志貴ちゃんの知り合いの人?」 「あぁ…、斗波さんっていうのは遠野家の分家に当たる久我峰家の当主の人。元秋葉の婚約者だったらしいよ。」 「へぇ、なんで元なの?」 「う〜ん、親父が死んで当主になったから、結婚する理由が無くなったんだろ。」 「ふ〜ん、なるほどね〜。」 「まぁ、秋葉は嫌っていたようだから、逆に安心したんじゃないのかな。」 そういうと、横から小さい声で「チッ」と聞こえた気がした。 「なんか、こうやって二人で話してるとさ、三崎町の学校を思い出すよねぇ。」 「あぁ、そうだなぁ。こうやって弓塚と乾と…あ。」 「あ…、忘れてた…。」 私達は中学校からのクラスメイトの事を忘れていた。 「あ、あの…弓塚さん、もしかして、乾に…。」 「…うん、何も言わないで転校してきちゃった。」 ペロッと舌を出しながら、苦笑いを浮かべる弓塚。 「あぁ〜、あいつ怒ってるんだろうなぁ…。」 「う〜ん、多分、というか絶対怒ってるだろうねぇ〜。」 まるで他人事のように話す弓塚。 弓塚も怒られる対象となるのは確実である。 「まぁ、なんとかなるだろう…。」 「うん、そうだね〜。」 「・・・・・・・・・」 弓塚と会話をしていると、レンに袖を引かれた。 「ん? どうかしたか? レン。」 「どうかしたの〜? レンちゃん。」 「・・・・・・・・・・・」 レンは無言で斜め上を指差す。 「ん? なんかあるのか…?」 「なになに? なんだろう〜?」 レンの指差すほうにある家の屋根を見ると、なにかがこちらへ跳んできた。 「しーきーみつけたーっ!!」 「うわっ!! アルクェイドっ!!」 「あぁぁっ!! 見つかっちゃったっ!!」 屋根から跳んできたアルクェイドはそのまま私の胸へダイブしてきた。 当然、そんな衝撃を受けたら吹っ飛んでしまうので私はレンを抱えて椅子から即座に離れる。 ストッ とアルクェイドは椅子の上に着地して、私に飛び込んできた。 「ぐはっ!! 痛いだろうバカッ!!」 「なによー、避けるのがいけないんだよー。」 「はぁ、やっぱりアルクェイドさんにはすぐ見つかっちゃいましたか〜。」 「そりゃそうよさっちん。私の影響下にいるんだから、すぐ見つけられるわよ。 最もあまり早く移動されるとさっちんの影響はかなり薄いから見つけにくいんだけどね。」 「わかった、わかったから、とりあえず離れろアルクェイド。」 コンビニの店員がこちらを何事かと見ている。 今の状況はかなり怪しく映っている事だろう。 「えへへー、志貴ー。」 「だぁ、いいから離れろってのっ!!」 「ぶー、けちー。」 そういってアルクェイドはやっと私から離れた。 「ふう、全く。お前はTPOってものをもう少し考えたほうがいいぞ。」 「ん? なにそれ? 」 「…あぁ、お前に言った私が悪かった。」 「んー、なんだかわかんないけどむかつくなー。」 「あっ!! し、志貴ちゃんっ!!」 弓塚が突然声を張り上げた。 「ん? どうしたの? 弓塚。」 「えっとね、寮、もうすぐ門限だよ…。」 「あっ!! やっべぇ忘れてたっ!!」 「あー、そっかー。門限あるんだっけー寮って。」 「あぁ、忘れてたよ。それじゃぁアルクェイド、悪いけどまた明日な。」 「うー、まぁしょうがないか。またねぇ志貴。」 「さようなら、アルクェイドさん。」 「うん、またねーさっちん。」 「ほれ、それじゃいくぞ弓塚。」 「うん。」 門限ギリギリだという事を思い出した私達は、アルクェイドと別れ林に入って、全力で走った。 もちろんレンを抱いたまま。 「はぁ…、なんとか間に合ったかな。」 「はぁ…、はぁ…、し、志貴ちゃんはやすぎ…、私でも…ついていくのが…やっと…。」 「あ、悪い悪い弓塚。でもまぁ弓塚なら付いて来れると思ってさ、『力』を解放したんだ。」 「はぁ…、まぁ、ついて来れたけどさ…。」 「まぁ、いいから早く入らないと、閉まっちゃうぞ門。」 「うん…、そだね。早く入ろう。」 私達はなんとか門限に間に合って寮に入った。 レンはその時には猫化して、私の胸に蹲っていた。 「おかえりなさい、姉さん、弓塚先輩…。」 そこで出迎えていたのは、秋葉以下、置いてけぼりにした面々だった…。 そして今夜も、お説教の時間が始まる。