「しきさま、お時間です。お起きください。」



_____日差しが、眩しい…。


目を開けると、いつもより顔に日が当たる事に気付いた。

「志貴さま、おはようございます。」
ベットの横を見ると、翡翠がこちらを向いて立っていた。

「あぁ、おはよう翡翠。…って、なんでいるの? 」
そう、これがいつもの遠野の屋敷なら問題無い。
日常的に起きている事柄だ。
だが、ここは違う。
昨日から住む事になった浅上女学院の寮だった。

「志貴さん。おはようございますー。」
「あぁぁぁ、遠野さん、おはようございます…。」
「あぁ、琥珀さん、晶ちゃん、おはよう…。」
翡翠の斜め後ろに琥珀さんと晶ちゃんが立っていた。
琥珀さんはいつものように、いや、いつも以上ににこにこして、立っていた。

「…、琥珀さん。その、手の中にはなにがありますか…? 」
「あらー、気付かれちゃいましたかー。」
「申し訳ございません、志貴さま。私は止めたんですが…。」
翡翠の言葉を聞いて不穏な空気を感じ取り、琥珀さんの手をよく見た。

「…、ハンディカメラですか…。」
「えぇ、そうです。可愛い寝姿をバッチリ記録させて頂きましたからー。」
「…、それ、どうするんですか…。」
「もちろん、私のコレクションの一つに加えて、一場面をプリントアウトして壁にポスターにして貼らせて頂きます。」
「琥珀さん、そんな冗談真顔で言わないでください…。」
「志貴さま、姉さんは恐らく本気かと思われます。」
「そうですよ、翡翠ちゃんの言う通りです。」
「・・・・・勘弁してください。」
そう言い、琥珀さんに頭を下げる。

「こればっかりは、お聞きできませんねー。これは私だけの問題ではありませんからー。」
「へ? 私だけの問題じゃないって…。」
「志貴さま、もうそろそろ朝食のお時間です。お着替えください。」
私が琥珀さんに聞いている途中、翡翠が声をかけてきた。
ふ、とベットの横にある時計を見ると、時刻は6時半を少し過ぎていた。

「んー、そっか、わかった。ありがとう翡翠。」
「はい、ありがとうございます。」
ほんとり頬を赤らめ、優しい笑みで翡翠は頭を下げる。
琥珀さんを見ると、未だにカメラを回しているようだった。

(はぁ…、もういいや…。)
これは、諦めたほうがいいかもしれない。

「そういえば…、なんで翡翠と琥珀がいるの? 」
先ほど考えていた疑問を、私は二人にぶつけてみた。

「あ、あのですね、それは私が呼んだんです。」
声の方向を見ると、晶ちゃんが顔を赤くして言った。

「そうなんですよー志貴さん。寝ている時でも女の子を泣かせちゃダメですよー。」
琥珀さんを見ると、カメラを止めて『めっ』といういつものポーズをしていた。

「へ? どういうこと? それ。」
私は意味がわからないので、琥珀さんに聞き返した。

「志貴さま。晶さまは志貴さまの寝顔を見るのが初めてだったんです。
それで、朝起きて志貴さまを起こそうと志貴さまの寝顔を見て、
お亡くなりになっていると勘違いなされたんです。」
「そうなんですよー。それで私達の部屋に、晶ちゃんが泣きながら『志貴さんが死んじゃってますー。』
なんていって来たんです。」
「あ、あぅぅ、そ、それはそうなんですけど〜。」
晶ちゃんは耳まで真っ赤にしながらうめいている。

「あぁ、そうなんだ。ごめんね、晶ちゃん、心配させちゃって。」
私は笑顔で晶ちゃんに謝った。

「あぅ、いえ、とんでもないですよ。私が勘違いしちゃっただけですし。」
「晶さま、私も志貴さまの寝顔を見たときは同じ勘違いをしてしまいましたから。
志貴さまの寝顔は、初めて見た方には衝撃が強すぎるんです。
ですから、晶さまが気に病む事はございません。」
「ぅぅ…、翡翠が言うんだったらそうなんだろうなー。毎朝私の寝顔見てるわけだし。」
「はい、私は事実を申したまでですから。」
翡翠が真顔できっぱりと切り捨てる。
その時ふと、翡翠を見ていて気になった事を聞く事にした。

「あのさ、翡翠。そういえば…。」
「はい、なんでしょうか、志貴さま。」
「いや…、なんで、メイド服なの? 」
「えっ…。」
翡翠は瞬間赤くなり、顔を俯かせた。

「それはですねー志貴さん。翡翠ちゃんは『いつもの同じように志貴さまに目覚めて頂きたいから。』という気遣いなんですよー。
可愛いですよねー、翡翠ちゃん。」
「ねっ、姉さんっ!! 」
「あららー、翡翠ちゃん、さらに顔を赤くしちゃってー。
本当に可愛いなー翡翠ちゃんはー。」
「ね、姉さん…。」
琥珀さんの言う通り、さらに顔を赤くして、翡翠が俯いている。

「そっか、うん。ありがとう翡翠。お陰でいつもと変わらずに気持ち良く目が醒めたよ。」
笑顔でそう言い、俯いている翡翠の頭を撫でた。

「あっ…、はい。そういって頂けて私も嬉しいです…。」
赤い顔を上げて、翡翠は私にそう言った。

「あー、やっぱり志貴さんは女の子になっても『女泣かせ』ですねー。」
「な、なんですかーそれー。」
「いえいえー、事実を言ったまでですよー。」
琥珀さんは本当に楽しそうに笑っている。
カメラをまた回しながら。

「あ、もうすぐ朝食なんだっけ。」
「はい、すぐにお着替えください。
それでは、私も着替えてきますので、着替えが済み次第こちらへ伺います。」
「うん、わかった。ありがとう翡翠。」
「はい、では失礼いたします。」
丁寧にお辞儀をして、翡翠は廊下へ出て行った。

「さて、それじゃ着替えるか…。」
私はベットから降りて、クローゼットへ向かう。



「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・琥珀さん。」
「はい、なんでしょー? 」
「…、お願いですから向こうむいてくれませんか? 」
着替えようとする私を横からじーっ、とカメラを回して見ている琥珀さんに言った。
その後ろでは晶ちゃんもこちらをチラチラ見ている。

「いえいえ、お気になさらずに、どうぞ着替えてください。」
「いや…、着替えるのは着替えるんですけどね…、見られていると、その…。」
「大丈夫ですよ、『女の子同士』なんですから、恥かしい事なんてこれっぽっちもありませんよー。」
「いや…、恥かしいですよ、見られていれば。」
「気のせいですよー。」
「・・・・・・・・・」
「あ、それでは判りました。晶ちゃん、コレ、お願いします。」
「へ? これ、ですか? 」
琥珀さんは後ろにいるアキラちゃんにカメラを手渡した。

「はい、それではちゃんとカメラを回していてくださいねー。」
「あ、はい、わかりました…。」
そういって晶ちゃんがカメラを回し始めると、琥珀さんが、いつもより何倍も怪しい笑顔で近づいてくる。

「こ、琥珀、さん? 」
「さぁさ、志貴さん…。」
ガッシリ私の肩を掴む琥珀さん。

「えーと…、まさかとは思うんですが…。」
「えぇ…、そのまさかだと思いますよー。」
琥珀さんはさらに笑顔を怪しく歪め、見つめてくる。

「あ、あ、その…。」
「さぁ、志貴さん。お着替えしましょー。」
琥珀さんはそう言うと、ボタンに手をかけた。

「わーっ!! こ、琥珀さんやめてくださいっ!! 」
「大丈夫ですよー。恥かしいのなんて一瞬ですからー。」
いつの間にしたんだろう、琥珀さんはパジャマを前で留めているボタンを全て外していた。

「わぁっ!! や、やめてくださいよっ!! 」
思わず前を両手で隠して床に座り込もうとする、が。
琥珀さんの両手が私の両手を掴み、クローゼットのドアに押さえ込む。

「あらー、志貴さん。寝るときはブラジャー外すんですねー。
可愛い胸が見えてますよー。」
「うぅぅ、やめてくださいよーっ!! 」
「わー、やっぱり志貴さんは女の子になってもかわいいですねー。」
より一層笑顔を怪しくして、頬を赤くして琥珀さんが言う。
私は胸を見られている恥かしさに顔を赤くして背ける。
その方向には、晶ちゃんが顔を真っ赤にしながらカメラを回していた。

「小さいお胸ですねー。ちょっとだけ…。」
「っ!! や、やめっ!! 琥珀さんっ!! 」
琥珀さんはペロッと胸を舐めた。

「あはっ、かわいー。いぢめたくなっちゃいますねー。」
「も、もういじめてるじゃないですかっ!! 」
「あら、そういえばそうですねー。という訳でそんな志貴さんにはご褒美です。」
そういうと、琥珀さんは私の胸の頂点にある粘膜に口をつける。

「はっ!! だ、だめでっ!! んあっ!! やぁっ!! 」
「・・・ちゅ、くちゅ、じゅ・・・、あらら、志貴さん、気持ちよかったですか?
ここがもう起ってきてますよー。」
「っ!! そ、そんなっ!! だって、それは…。」
「言い訳はいけませんよ。そんな志貴さんにはお仕置きですっ!! 」
そう言い、また琥珀さんは粘膜に口をつけ、今度は軽く噛み付いた。

「ふあっ!! や、やぁっ!! そっ!! だめぇ!! 」
突然来た軽い痛みの混じる強烈な快感に、頭がぼーっとしてくる。
そのまま琥珀さんに押し倒され、馬乗りにされた。

「あはっ、志貴さん、感じやすいんですねーやっぱり。
ここがこんなに硬くなって…。」
琥珀さんは片腕を離し、私の硬くなった頂点を指で摘んで転がす。

「んあっ・はぅっ・・やっ・・やめてっ・・・」
「あらあら、でも志貴さん気持ちよさそうじゃないですかー。
そういえば、パジャマのズボンも脱がないといけませんねー。」
そう言うと、琥珀さんはパジャマの上から、私の秘部に指を這わせる。

「つっっ!! やぁ、琥珀さんっ!! そこはダメぇ!! 」
「あら、志貴さん。ここが熱くなってますね…。」
琥珀さんは笑顔で、頬を赤らめながら言う。

「ぅあっ!! だ、だって、それは…んぁっ!! 」
「それでは、パジャマが汚れてしまうといけませんので脱ぎましょうねー。」
言うやいなや、琥珀さんはパジャマの腰の辺りに指をかける。
(あぁ、先生…、私、犯されます…。)
とぼ〜っとした頭で考えていた時

「姉さんっ!! 許しませんっ!! 」
という声と共に暗黒翡翠掌が琥珀さんに炸裂した。
馬乗りになっていた琥珀さんは、真横からの衝撃に無言で吹っ飛ぶ。

「ひ、ひすいちゃ…。」
吹っ飛んだ琥珀さんがあお向けに倒れ、起き上がろうとする所を、
翡翠がマウントを取り押さえ込み

「許しませんっ!! 許しませんっ!! 許しませんっ!! 」
と容赦の無い平手を連打で琥珀さんに見舞う。


「ひ、翡翠…、もう、それぐらいで…。」
余りの翡翠のラッシュに、私はさっきまでされていた事を忘れ、琥珀さんが心配になった。
すると翡翠が

「し、しきちゃんっ!! 」
こちらを向いて、琥珀さんから降り、我を忘れて、私に抱きついてくる。

「だいじょうぶ、しきちゃんもうだいじょうぶだよ。私を信じていいよっ!! 」
「う、うん。大丈夫だよ、翡翠。ありがとう。」
我を忘れている翡翠に抱かれて、私は翡翠の頭を撫でる。



「あ…、し、志貴さま失礼しました。」
錯乱状態から立ち直ったのか、翡翠は顔を真っ赤にして私から離れた。

「いや、本当に助かったよ翡翠。ありがとう。
もし翡翠が来てくれなかったら私…。」
そこまで考えて、背筋が凍るのを感じたから辞めた。

「そ、それじゃぁ私着替えるから、琥珀さんの事、見ててね…。」
「はい、おまかせください志貴さま。」
そう言い、翡翠はカーテンを閉めて、琥珀さんと晶ちゃんを見張った。



だが私は忘れていた。晶ちゃんが一部始終をカメラに収めていた事を。