「・・・・・で、どういう事なんですか?その・・・兄さん?」

なぜか頬を染め、そっぽを向きながら秋葉に尋ねられる。

「いや、どういうことって言われてもな・・・。どういう事だ?アルク」
心持ちジト目でアルクェイドを睨んだ。

「えー?私に聞かれてもわかんないよー。ただ、治療したらそうなっちゃったって言うしかないじゃん。」
なにを呑気に紅茶飲みながら言うんだ、コイツは。

「知らないじゃすま・・・」
「知らないじゃすまないでしょうがこのバケネコーーーーーー!!!」
俺より大きな声を張り上げ秋葉が怒鳴る。


「うわー、妹きょうぼうー、志貴たすけてー。」
「今回は秋葉に同意だ。」
「あー、ひどいなー志貴、昨日助けてあげたのにー。」
「あのな、その原因を作ったのもお前だろうが・・・・」
「ねー志貴、その喋り方なんか似合わないよ、もっと可愛く喋ろうよ。」
「俺は俺なんだから、このままでいいのっ!!」
「えー、つまんないよそれじゃー」
「お前がつまんないとかそういう話じゃな・・・」

俺とアルクが口論してると、斜め前にいる秋葉の髪が・・・・

「兄さん、また出かけたんですか・・・」
「ま、まぁ落ち着け秋葉、昨日のはしょうがないんだ、ほら知ってるだろ?例の『死徒』の事。」
「えぇ、知ってますよ。でもそれが兄さんとなんの関係があるんでしょうか?」
「いや、ホラ、俺の住んでる街なわけだしさ、自分ができる事はやろ・・・」
「そんな事そこの人外やカレー神父に任せればいいんですっ!!」
「・・・・・・いや、でもな、俺は出来る事はしたいんだよ、だから・・・」
「志貴さま、秋葉さま、話が変わっています。」

翡翠が突っ込みを入れる。
そういえばそこはもうどうでもいいか。
それよりもアレだ。





___俺が絶叫を挙げた後、秋葉、翡翠、琥珀さんが俺の部屋へなだれ込み

「「「説明してください、ちゃんと!!!」」」

と、アルクェイドへ詰め寄り、とりあえず居間へ、という琥珀さんの提案で、
俺は制服へ着替えさせて貰い居間での一連の話し合いになった。___




「・・・で、どうなってるんだ、これは。」
「だからー、私にもわかんないんだってー、これ本当だよ?」
「・・・・はぁ、やはり兄さんに人外は近づけるべきではないですね。いいでしょう、ここで・・・」
「まぁ、待ってください秋葉さま。判ってそうな方を捕まえましたので。」

琥珀さんがそう言うと、玄関からシエル先輩が歩いてきた。


「おはようございます遠野君、やっぱり大騒ぎになっちゃいましたね。」
判っていた、という口調で話し出すシエル先輩。

「あら、やはりカレー先輩も一枚噛んでいましたか。まぁこの人外が関わっている以上、
貴女も関わっているというのは当然ですね。」
我が妹君が朝から喧嘩腰になっている。

「えぇ、真に不本意ですが、今回の騒動に関しては秋葉さんの言う通り、私の責任でもあります。」
「そうだよー、シエルだって悪いんだから、私ばかりに聞かれてもわかんないよ。」
「「貴女も関わっているんですから偉そうに言わないでくださいっ!!!!」」
「志貴ー、シエルと妹短気だねー。大変でしょー。」
「いや、おまえの相手するのも大変だから五分五分だ。」

「とにかく、今回の件に関しては私から説明させて頂きます。」
肩をいからせアルクを睨みながらシエル先輩がそう言うと、この場にいるみんな(アルクェイド含む)が
シエル先輩の言う事に耳を欹てた。

「まず、今回の原因は、私とそこのあーぱーの喧嘩が原因です。本当にごめんなさい、遠野君。」
伏し目がちに先輩はそう言い、頭を下げてきた。

「いや、もう終わった事だし、それはもうしょうがないって。もう謝らないで、先輩」
できるだけ優しく先輩に声をかけると
「兄さんは優しすぎるんですよ・・・」
という秋葉のブツブツという呟きが聞こえた。

「それで、怪我をしてしまった遠野君の治療を、私とそこのあーぱーがしたんですけど・・・。」
「治療?治療だけだったら先輩だけで十分じゃない?」
「えぇ、まぁそうなんですけど・・・」
「なによ、私に治療されたのが嫌なの?志貴」
やはりぷんぷんという擬音が似合いそうな顔で睨んでくるアルクェイド

「いや、そういう意味じゃなくって・・・あぁもう、後で聞いてやるから今は説明を受けようぜ。」
「むー、わかったよ・・・」
ふて腐れながらも、自分のせいでもあるという事を気にしてるのか、珍しくアルクェイドがおとなしく頷いた。

「それでですね、私がお腹、アルクェイドが肩を治療したんですけど、あ、そういえば遠野君、痛みはもうないですか?」
「あぁ、もうぜんぜん大丈夫ですよ。ほらこの通り。」
Yシャツの前を上げてお腹を見せると、周りのみんな(アルクェイド除く)が顔を赤くして俯いた。

「も、もう兄さんっ!!そ、そんなはしたない真似は金輪際やめてくださいっ!!!」
「え?・・・あぁ、ゴメンゴメン」
どうやら一緒に胸まで見せていたようだった。

「え、えっと・・・では、続けますね。」
顔を赤くしながらシエル先輩は説明を続けた。

「それで、治療の時に、私とそこの人外が違う系統の治療魔術を使用してしまったようで。
私のは傷自体の修復、アルクェイドのは恐らくその部分への活性化作用でしょう。遠野君は前にネロの『混沌』
をアルクェイドに塗られて治療されたらしいですから、『混沌』の力へ作用するその治療も有効なんですけどね。
ですが、簡単に喩えますと、私の治癒が『白』、アルクェイドの治癒が『黒』とします。
同じ色だったら何ら問題は無かったんでしょうけど、『白』と『黒』が混ざってしまってお互いの力の度合いによって
さまざまな色に変わってしまうんですよ。そして、秋葉さん。」
「・・・・はい、なんでしょうか?」
突然振られ一瞬驚いたが、きちんと返事をした秋葉。

「秋葉さん、『ロア』が死ぬ前まで、遠野君と命の『共有』をしていますよね?」
「えぇ・・・そうですけど、それがなにか?」
「そして、遠野君の命が『ロア』を倒した時点で戻ってきた際に、『共有』を切りましたよね?」
「えぇ、そうですね・・・兄さんは自分の命が帰ってきたんですから、必要ないでしょう。それと、
その話が今回の件に関してなにか関係あるんでしょうか?」

「確かに命の『共有』はもう関係無いのですが、その『共有』の痕が彼の中に残っていたんですよ。」
「先輩、『共有』の痕って、なに?」
「まぁ、簡単に言いますと『回線』ですかね?秋葉さんから一方通行に伸びてる『回線』です。
秋葉さんにも恐らく遠野君の『命』がしこりのような形で残っていると思いますけど。」
「・・・えぇ、残ってますよ。最も、今は化石のようになって重みも感覚もありませんけど。」
「『回線』からの通信を切れば感じ取れないとは思いますが、これは秋葉あからの一方通行ですので秋葉さんは
きちんと捕らえられるんでしょう。
その重みは、実は遠野君にもあるんです、感じ取れるかどうかは別として。」
「なるほど・・・それで?それがどうしたんですか?」
「その残っている『回線』と彼の魔術回路、それと『七夜』の血、加えて『白』と『黒』の治癒魔術、これらがぐちゃぐちゃに混ざってしまった結果が、
今回の遠野君の変貌かと思われます。」
「な・・・なんですってっ!!!じゃぁ、兄さんのこの姿は・・・」
「恐らく、秋葉さんの『命』のしこりが何らかの作用をして女の子になってしまったという線が濃いですね。
そのしこりが無くても、女の子になってしまったかもしれませんが、白と黒が混ざった時点でどうなるかわからないんですが、
その白と黒が混ざった時点で彼の魔術回路、『七夜』の血が反応し、秋葉さんの『命』のしこりに残っていた秋葉さん、
つまり女の子の情報はネロ・カオスの『混沌』や『七夜』の血と、『白』と『黒』に渡って『命』の情報になるべく近い、
つまり『女の子』という形を遠野君の体が取ったんでしょう。」

「・・・・・・・なんてこと・・・・」
「まぁこれは憶測の域を出ませんから、あまり気にしないほうがいいですよ、秋葉さん」
「そうそう、大丈夫だって妹、志貴には私がいるから。」

秋葉共々、俺は呆然としてしまった。