「・・・・・・・が・・・・・したせ・・・だ・・・!!」
「で・・・・がこ・・・・だ・・・・・しょ・・・」

-----------あれ、なんだろう

「でも・・・んでこ・・・・に・・・・だ・・・ねー」
「そん・・・わた・・・・ない・・・さいっ!!」

---------この声は、アノ二人だろうな〜

「そもそ・・・ルがけん・・ってきた・・・けな・・・からね」
「そ・・いうなら・・たが挑発す・・がいけ・・んですっ!!」

---------また喧嘩してるのか、しょうがないなー

「なによ、またやろうっていうの?志貴をこんな風にしといて」
「志貴君がこうなったのは貴女のせいでしょう、私に責任転嫁しないでください」

---------こりゃやばいな、原因は俺か。

「あら、それは貴女でしょう、いつも黒鍵振り回すしか脳のない教会の犬」
「いってくれますね、やはり貴女は私が封印してあげますよ、不浄物」

---------本気だなこりゃ、起きて止めるか

「そう、それじゃぁやっぱりここで決着をつけようか」
「私もそれには同意ですね。二度と志貴君の前に現われない様、決着をつけます。」

「・・・・・・二人とも、とりあえず抑えてくれ」



「あ、志貴起きたのー?よかったー」
「遠野・・・君、目が醒めましたか?」

二人の殺気が嘘のように引いていった。やっぱり原因は俺が寝てたからか。

「あぁ、おはようアルクェイド、シエル先輩。」

腹筋に力を入れて、上半身を起こした途端腹部と肩に鈍痛が走った。

「ぐぅ・・・・いって・・・」
「あー、志貴まだ動いちゃダメよ。治療してからまだ2時間しか経ってないんだから」
「そうですよ遠野君、余り無理して動かないでください」

「そうだね・・・じゃぁもうちょっと横になってるよ」

公園のベンチの上に俺はまた横になった。

「じゃぁ、志貴も起きたし一安心だねー」
「えぇ、全く不本意ながらその通りです。ですが今の状態のままほっとくわけにもいきませんので、私が
遠野くんの家まで送りますよ」
「ダメよ、シエルみたいな狼が送るとなにされるかわかったもんじゃないわ、私が送る」

-------また始まりそうだなぁこりゃ。
「二人とも、俺の心配してくれるならもう言い争ったりしないでくれよな。」

今にもくってかかりそうなシエル先輩を牽制する形でそう言った。

「・・・・はい、わかりました」
「私は大丈夫よ、そんなに短気じゃないから」

俺はアルクのほうが心配なんだけどな、と心の中で呟くが、口には出さない。
というか出したらどうなるかわかったもんじゃないから出せない。

「で、遠野君、どうしましょうか?今の遠野君の状態だと抱えて連れて行くしかないんですが」

そっか、結構酷いんだ俺。抱えて連れて行くしか・・・って『抱えて』っ!!

「ちょ、ちょっとまって、俺ちゃんと歩くか・・・・」
「ダメです。大怪我してたんだからいくら治癒魔術使ったってあの怪我では安静にしてなきゃいけません。」

キッパリ言い切る先輩。でもそうなると・・・

「だから、志貴は安心して。私がパパッと部屋まで送ってあげるから。」
「それこそ言語道断ですっ!!私が責任持って遠野君を部屋までお連れします。」

・・・こうなるんだよなぁ。

「あぁ〜、じゃぁわかったわかった。俺が決める。」
「まぁ、そうしたほうが志貴にとっても安心でしょう。」
「そうしてください、遠野君。」

と、決定権を委ねられ、考慮に考慮を重ねて出た人選は

「アルク、悪いが送ってってくれ。」
「うん、わかった。やっぱり見る目あるね志貴。」
信じられないといった表情で見てくるシエル先輩。視線が痛い・・・

「バカ、シエル先輩は明日学校だし、俺も学校があるんだ。ここはプータローみたいなお前に任せるのが適任だと思ったんだよ。」
なんだそっかぁー、と自分が意図した事と違う返答に返事するアルクエィド。
シエル先輩の視線はなんとなく緩んだ、かな?

「じゃぁ遠野君、明日の朝お迎えにいきますね?」
「えっ、悪いよ先輩それは。学校だったらいつでも会えるしさ。」

俺が返事をしてから即座に

「ダメです。今回はそこのあーぱーに華を持たせたんですから、それぐらいは了解してください」
「・・・・はい。」
と、笑顔で言われてしまった。




とりあえず、そういった訳で解散。先輩は公園で俺達を見送って帰っていった。
俺は、アルクェイドに『お姫様だっこ』の状態で抱えられ家へ向かう。

「あはっ、志貴軽いねー。」
「バカ、お前にとったらダンプカーでも軽いもんだろうが」

ダンプカーって車だよねー、と軽返事をするアルクェイド。

「でもさ、やっぱり『いつもより』軽いよ。」
「そうか?俺にはわからんけど」

そりゃ、抱えられてるほうはわからない」

「でもさ、なんで俺怪我したんだっけ」

顔に受ける風を気にしながら聞いてみた。

「えっ、覚えてないのー?ま、そりゃそっか。一瞬の事だったもんねー」
「一瞬って・・・なにがあったっけ。」
「えとね、私とシエルがまた喧嘩してー」
「・・・・巻き添えでも食ったか?俺」
「ううん、そうじゃなくって、志貴が喧嘩中に飛び込んできたんだよ」
「・・・・・あのな、そういうのを『巻き添え』っていうんだよ」
「えー、違うよー、あれは自分から飛び込んできた志貴が悪いんだもん。巻き添えじゃないよー。」
「あぁ、悪い、お前に言った俺がバカだった。」

「むー、志貴、知りたいの?知りたくないの?」
「・・・・・教えて下さい。」

『落っことしちゃうぞ』と言わんばかりに膨れるアルクェイドに、抱えられてる俺が逆らえるわけが無い。

「うん、よろしい。素直にそういいなさい」
「・・・・はい。」

なんか小馬鹿にされているようでムカツクが、こっちが圧倒的不利なので逆らえない。

「で、続きね。志貴が飛び込んできたのはいいんだけど、私達の勢いがとまらなくってさ、
私の爪が肩、シエルの黒鍵がお腹に刺さっちゃって・・・」
「・・・・・・・あぁ、思い出した。」


そう、そういえばそうだった。

確か最近また来た死徒の死者の事後処理に付き合ってたんだっけ。
また来た死徒っていうのは、まぁ『新しく来た』という訳ではなく、『ロア』の事件の時にどっか間違って生まれた、
つまり『新しく発生した死徒』で、その気配を早々と察知したシエル先輩やアルクに付き合って退治したんだ。

つまり、その『死徒』が残した死者の掃除をしてる最中だったんだ。
まぁ、死者は親である『死徒』が死んだ時点で塵になるんだけど、今回の死徒が『ロア』の時に生まれてしまった死徒だったもんで、
ちょっと慎重に見回りなんかをしてたんだ。

で、その最中に、いつも通り喧嘩が始まって・・・

「・・・って、やっぱお前等の巻き添えじゃん。」
「むー、もういいでしょ、それは。第一、喧嘩売ってきたのはシエルのほうなんだからね。」
「いや、先に挑発したのはお前だろ。」
「むー、なんでよー。」
「そりゃそうだろ。いきなり『シエルのお尻が大きくて前が見えないー』って言ったら怒るのは当たり前だ。」
「もう、それは本当の事だし。それで怒るシエルの短気もいけないんだよ。」
「まぁな、先輩には明日俺からもう一度お説教しておくよ。」
うん、楽しみー。なんて言うアルク。こっちの身にもなってくれよ・・・

と、急に睡魔が襲ってきた。

「あ・・・悪いアルク、部屋ついたら起こして・・・」
「うん、寝てていいよ志貴、ベットの上に置いておくから。」
「あ・・・・じゃぁ、頼む。」
「うん、まかせて。その服もちゃんと脱がせておくから安心して。」
「ば・・・ばか、それはダメだぞ、それは。」
「大丈夫、志貴の『今の体』なんて、毎日見てるようなもんだから変な気にならないわよ。」
「は・・・?な・・・んだ・・・それ・・・」
「もう、いいから黙って寝てなさい。」

そう言われ、アルクェイドの目を見てしまった瞬間、深い眠りに就いてしまった。